やさしいきもち

~人が好き。人の笑顔を見るのが好き。誰しもが幸せであることを祈り、綴る言葉のあつまり~

誰かのために生きよう

 
 最愛の妻と

 生まれたばかりの一人息子を

 大津波で失いました


 二人にとっていつまでも

 誇れる夫 父親でありたいと思います



 被災者の皆さん

 苦しいけれど がんばって

  
    N市 職員S



 宮城県のとある市役所の正面玄関のガラスに

 安否不明者を探す数多くの張り紙ににまじって 

 このような張り紙が張ってあります。


 自分も、家族を失った被災者でありながら

 N市の職員として、日々市民のために働いているのです。

 周りの市民を勇気付ける、力強く、あたたかく、そして悲しいメッセージです。

 このメッセージを見た人たちは

 どれだけの勇気と励ましをもらったことでしょう。

 そして

 自分とその家族が生きていることの喜びを

 感じた事でしょう。


 人というものは欲張りです。

 災害当時は命が助かっただけでよかった思う。

 けれど、生活の不便さに

 早く電気が通ってほしいと願う。

 電気が通れば

 水道が、そしてガスが元通りになってほしいと願う。

 早くもとの生活に戻りたいと思うのは

 当たり前の事かもしれません。


 でも、決して忘れてはいけない事があります。

 夢半ばにして無念にも命を失っていった

 数え切れない犠牲者の方々の思いです。

 そして、

 その家族の方の 深い悲しみです。


 今こそ私たちは

 自分のためだけではなく

 誰かのために生きなければならないのです。

 隣の人、地域の人、友達、

 そして

 目に見えない

 遠くでつらく悲しい思いをしている人たちのために

 生きなければならないと思うのです。

 それは、

 被災地で懸命に生きている人たちだけに限りません。

 目の前で困っている人、

 悩んでいる人、苦しんでいる人、

 誰のためでもいい。


 けれど、自分ひとりにできることは

 限られています。

 でも、

 節電でも、節水でも、節約でも、なんでもいい。

 一人ひとりの思いが形になり、

 それらが合わさった時に

 被災者のもとに、

 苦しんでいる人のもとに、

 その思いが届くのです。

 
 被災地は

 悲しみの中にありながらも

 何とかして復興を遂げようと

 少しずつではありますが

 前に前に進み始めています。


 今こそ

 その後押しをする時だと思うのです。


 『誰かのために生きよう』